屋根塗装で雨漏りを防げるの?塗り替え前に知ってほしい屋根塗装の目的と効果

  • 完成後も、10年後も美しく 会社名:JPM 東大阪北店
    永濱 正明
    所在地:大阪府東大阪市長田2-12-5-102
屋根塗装で雨漏りを防げるの?塗り替え前に知ってほしい屋根塗装の目的と効果

屋根の塗装は単体で依頼される方、外壁塗装の際についでに屋根塗装も、という方など様々です。

ただ、圧倒的に多いのが外壁塗装と同時に屋根塗装をされる方です。
これは屋根塗装単体の場合でも仮設足場が必要となるためで将来の出費を考えると、やはり同時にした方が結果的にコストを抑えることができます。

さて、その屋根塗装ですが今回は比較的多くのお家で使われている、薄型化粧スレート(カラーベスト・コロニアル)の屋根塗り替えについてお話したいと思います。

薄型化粧スレート(カラーベスト)
薄型化粧スレート(カラーベスト)

屋根塗装で雨漏りを防げる!?の疑問に答えます

「雨漏りが不安だから屋根塗装もやっておこうかなぁ。」というようなご相談をお客様からよく受けます。

結論から先に言います。
屋根塗装で雨漏りは防げません!

大事なことなのでもう一度…

屋根塗装で雨漏りは防げません!

現在、雨漏りをしている場合、屋根塗装ではほとんどのケースで直りません。
将来的な雨漏りの予防も屋根塗装では解消されません。

ですから「屋根塗装をすれば雨漏りを防げます。」と安易に話を勧める業者さんには注意された方がよろしいでしょう。

屋根塗装で雨漏りが防げない理由

屋根も外壁も雨水が侵入することは普通であって、その侵入した雨水をどう逃がす処理をするかが大事です。

屋根の構造は以下のようになっています。

カラーベスト等の屋根仕上げ材が一次防水。二次防水機能としてアスファルトルーフィングというものがあります。仮に一時防水の屋根材が破損しても二次防水で雨漏りを防ぐというのが雨漏りに対する屋根の対策です。

カラーベスト等の屋根仕上げ材が一次防水。二次防水機能としてアスファルトルーフィングというものがあります。仮に一時防水の屋根材が破損しても二次防水で雨漏りを防ぐというのが雨漏りに対する屋根の対策です。

ですから今現在起きている屋根からの雨漏りの多くは二次防水が損傷していることが原因なのでこれは屋根塗装で表面を塗装したとしても解消できないのです。

屋根塗装の目的と効果

屋根塗装の目的と効果

では屋根塗装をすることで得られる効果は何でしょうか。
主に3つの目的と効果があります。

3つの効果
(1)美観の回復
これは風化してしまった見た目を回復するという意味です。
屋根には汚れだけでなく、藻・苔・カビが生える場合もあります。
屋根塗装をする前には高圧洗浄でこれらを除去してから塗装するので美観を回復することができます。

(2)屋根材の保護
屋根表面をコーティングすることで屋根材の劣化の進行は止めることができます。
ただし先ほどの雨漏りの話で言うところの一次防水の部分に相当するので、直接的な雨漏り対策とは言えません。

(3)遮熱機能の付加(遮熱性能のある屋根塗料を使った場合)
屋根は外壁よりも紫外線にさらされています。
紫外線だけでなく、雨や風の影響を一番に受けている場所です。
屋根に塗装をすることにより失われた遮熱機能を付加します。

屋根塗装には上記の目的と効果があり行うものです。
ですから繰り返しになりますが、ここに雨漏りは関係ないのです。

雨漏りが心配な場合は屋根塗装ではなくカバー工法か、葺き替え

それでも「雨漏りが心配だ」というお客様からの声は実際によくお伺いします。

その場合ご提案しているのは以下の2つの方法です。
・屋根のカバー工法
・屋根の葺き替え

カバー工法は既存の屋根を残してその上に新たに屋根材を取り付ける方法です。
屋根の葺き替えは既存の傷んだ屋根取り外して新たに屋根に乗せ替える方法です。
このどちらかを行うことが雨漏りの根本的な対策につながります。

この2つの工法、家によってすべき適切な時期は違ってくるので正解はありません。
家が建った時の二次防水がどの程度きちんとなされているのか、その後の屋根の損傷度合いは施工業者や立地条件によって変わるからです。

それでもあえて目安を言うのであれば築20~25年を目途に上記の処置をされると雨漏り予防になり、建物の寿命を延ばすことできるのでおススメです。

屋根塗装をすることで逆に雨漏りすることもある!?

少々ショッキングな見出しになってしまいましたが、こういう事実もあるのでお伝えします。

「縁切り(えんきり)」といって屋根塗装における工程があります。

カラーベストやコロニアルなどの薄型化粧スレートと呼ばれる屋根材には表面に溝がありこの溝は屋根材の下に雨水が侵入した際に排出する役割を果たします。
屋根塗装をすることでこの溝を塗料でふさいでしまうことがあります。
そうすると雨水を排出する逃げ道がなくなってしまい屋根下地の腐食、ひいては雨漏りに繋がってしまいます。

これを防ぐために行う工程が「縁切り」です。

従来は塗装工事が終わった後にカッター等で隙間を開ける処理を行っていました。
現在ではセイム社から『タスペーサー』という商品が販売されており、このタスペーサーを屋根に差し込むことで縁切りの工程ができます。

タスペーサー
タスペーサー

タスペーサー施工例
タスペーサー施工例

見出し冒頭でお伝えした「屋根塗装をすることで逆に雨漏りに繋がる」というのは、この縁切りの工程を適切に行わなかった場合です。
縁切りが必要な場合において適切に行わなければ屋根塗装をしても雨水の排出先がなくなるので雨漏りに繋がってしまいます。

ただしここで注意が必要なのが全ての屋根に塗装時に縁切りが必要かと言われたらそうでもありません。
新築時は屋根材が重なっているが、長年の雨・紫外線によって徐々に屋根材自体が反ってくるので隙間が空いてきます。
また4mm以上の隙間があればタスペーサーを挿入する必要はないと言われています。

ですから縁切りの工程が全ての屋根に必要なわけではないのですが、縁切りが必要な場合においてその工程を端折ってしまう業者がまれに存在し、そうなってしまうと屋根塗装をしたのにもかかわらず逆に雨漏りを誘発するという残念な事態に繋がるのです。

そもそも屋根塗装は雨漏り予防にはならないのですが、このような場合は予防にならないどころか逆効果であり残念でなりません。

まとめ

よく聞かれることの多い疑問
「屋根塗装で雨漏りを防げるの?」についてご説明しました。

屋根塗装で雨漏りは防げません。

屋根塗装で得られる効果は
(1)美観の回復
(2)屋根材の保護
(3)遮熱機能(遮熱性能のある屋根塗料を使った場合)
この3つです。

また「縁切り」という屋根塗装の工程を必要な場合において行わないことで逆に雨漏りを誘発する可能性があるので注意が必要です。

屋根塗装は見えない部分だからこそ正しい知識が知られていないことがたくさんあります。

人も誰一人として同じ人間がいないように屋根も一軒一軒違います。画一的な処理をするのではなく、その屋根の状態を適切に把握して提案できる業者に依頼することをおススメします。